名古屋地方裁判所 昭和45年(ワ)137号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕物的損害 金三〇万円
<証拠>を総合すると次の事実が認められる。
原告は本件被害車を新車で買受けてから約二カ月後に本件事故に遇い、事故後間もなく被害車の修繕費を業者に見積らせたところ二一万七六二〇円と知らされたので、被告に対し人損はもとより、右車損について被告の負担にて修繕するか或いは金銭賠償をするよう要求し続けたが、被告の応ずるところとならなかつた。その間被害車は原告においても修繕せずそのまま放置し、原告は本件事故から五カ月余を経た昭和四四年一一月末新車を買受けた。被害車は右のごとく放置されていたので著しく減価し原告が翌年一年二一日被害車を業者に査定させたときは時価金五万円との見積りを受けた。
しかるところ、不法行為による損害賠償は金銭賠償が本則であるから、原告において被告に対し本件被害車の修繕を被告の義務として要求することはできないが、不法行為義務者において自己の負担にて被害物件の修繕をすることも稀でない。それで原告において被告に被害車の修繕を求めることは理に副うたことであるが、被告において容易に応じないのに何時までも被害車をそのままにしておいたための著しい減価の責任の大半は原告の間接義務として原告においてその不利益を受くべきものであると考えられる。
従つて原告が被告に対し本件被害車の損害として請求し得べき相当な金額は金三〇万円と認むべきである。
(西川力一 藤井俊彦 柄多貞介)